国内3,300万以上の月間アクティブアカウントがあるInstagram(※1)は、商品の認知拡大や、ECサイトへの集客などを目的とした広告媒体として、EC業界で広く活用されています。商品の情報や口コミを探すためにInstagramを検索エンジンのように活用するユーザーも多く、広告を配信することで商品の認知・購入に結びつきやすいことがメリットです。
そこで今回は、Instagram広告の特長や広告の種類について解説します。
Instagram広告とは?
Instagram広告は、Instagramのフィード(投稿されたコンテンツが流れる場所)やストーリーズ(投稿後24時間で消えるコンテンツ)などに表示される広告です。広告にリンクを設定し、ECサイトの商品ページやランディングページに誘導できます。広告のクリエイティブ(コンテンツ)は、広告用として新たに制作した画像や動画はもちろん、過去にInstagramに投稿したコンテンツを使用することもできます。
Instagram広告は、どのようなユーザーにリーチできる?
国内における「Instagram」の利用率について、総務省の調査「令和5年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」 による令和4年から令和5年の推移をみると、10~60歳代全体では50.1%→56.1%、さらに細かい内訳としては、10歳代では70.0%→72.9%、20歳代が73.3%→78.8%、30歳代が63.7%→68.0%、40歳代では 48.6%→57.2%、50歳代では40.7%→51.7%、60歳代では21.3%→22.6%と全年代で増加しています。
Facebookなどの他SNSと比較すると、10~20歳代の若年層の利用率が高いこと、男女別の利用率では、男性は48.8% 、女性は63.6%であることから、Instagram広告は若年層を対象にした商品や、女性向けの商品との相性が良いと言えるでしょう。また、「インスタ映え」という言葉が表すように、見栄えが良い画像が評価されるSNSのため、アパレルや食品、家具、インテリア、コスメなど、商材そのものが華やかなものや他と組み合わせて実際の利用イメージを伝えたい商材と親和性が高いと言われています。
ただし、一般的にはInstagramにマッチしないと思われるBtoB向けITツールのリード獲得にInstagram広告が成果を上げた事例もあります。自社にとって顕在的な顧客層がInstagramユーザーに多いのであれば、先入観を持たずにInstagram広告を運用してみるのも良いでしょう。これまで自社商材の顧客層ではなかったところにも、Instagramユーザーを新たな顧客として獲得できるかもしれません。
各SNSの利用率や利用目的のトレンドに関しては、「ECサイト集客に欠かせないSNSトレンドと年齢層別の利用傾向まとめ」の記事にて詳しく解説していますので、参考にしてみてください。
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ECサイト集客に欠かせないSNSトレンドと年齢層別の利用傾向まとめ
SNS広告をECサイトに活用する際は、自社のターゲット層に合ったプラットフォームを選びましょう。本記事では、各SNSのトレンドや主なSNSの利用者属性などのデータについてまとめています。
Instagram広告の全体像
Instagram広告は「配置」「フォーマット」「目的」「ターゲティング」を設定して配信します。
配置とは、Instagram広告を配信できる場所のことを言い、①フィード②ストーリーズ③発見タブ④IGTVの4種類と新しく始まったばかりの⑤リールがあります。フォーマットは、画像、動画、カルーセル、コレクションなどがあります。配置ごとに配信できるフォーマットが異なるので、広告の特徴にあわせて使い分けましょう。
では、Instagram広告の配置と各フォーマットについて詳しく解説します。
Instagram広告の配置の種類
Instagram広告の配置には「フィード」「ストーリーズ」「発見タブ」「IGTV」「リール」があります。これら5つの中から、任意の広告を1つ、または複数を選択できます。
①フィード
<使用できるフォーマット:画像/動画/カルーセル/コレクション>
フィードに表示される広告です。ユーザーによる通常の投稿に混ざって広告を流すことができます。画像および動画のフォーマットに対応しています。広告サイズなどの仕様はビジネスヘルプを参照してください。
②ストーリーズ
<使用できるフォーマット:画像/動画/カルーセル/コレクション>
投稿後24時間で消えるコンテンツ「ストーリーズ」の掲載枠に表示される広告です。ストーリーズのアイコンをタップし、スワイプや自動で切り替えで複数のコンテンツを連続して閲覧すると、数回に1回の頻度で広告が表示されます。クリエイティブは画像と動画に対応しており、フルスクリーンの縦型が推奨されています。
③発見タブ
<使用できるフォーマット:画像/動画>
Instagram内の発見タブで検索した際に、検索結果として表示されたコンテンツをタップしてスワイプしていくと、数回に1回の頻度で広告が表示されます。発見タブで表示させるクリエイティブは、フィードと同じものを使用できます。
④IGTV
<使用できるフォーマット:動画>
最長60分までの長尺の動画を配信できる広告です。動画投稿者が収益化(広告を許可)している場合、動画に広告がつきます。IGTV広告のクリエイティブはフルスクリーンの縦型(9:16)で、15秒以内の動画が推奨されています。
⑤リール
<使用できるフォーマット:動画>
30秒以内の短尺動画を楽しむことができるリールに表示される広告で、2021年6月17日(米国時間)に開始されたばかりの新しいフォーマットです。
リールはストーリーズと同様に縦長の全画面で表示されます。リール専用のタブはもちろん、フィード、ストーリーズや発見タブなどで連続してリール動画を再生すると、合間に広告が表示されます。リールは最大30秒までの動画を広告として出稿することができ、広告もリール動画のように一度再生が終わるとループで再生されます。
ユーザーはリール広告にコメントを残したり、いいね、保存、シェアすることができます。
まずはフィード広告とストーリーズ広告を活用
Facebook社によると、全世界のInstagramユーザーの半分以上がフィードとストーリーズを毎日使用しています(※3)。広告の種類の使い分けに悩んだら、まずはフィードとストーリーズから試してみると良いでしょう。広告の使い分けは、Facebook社が公表しているビジネスヘルプセンター内「Instagram広告の目的」ページも参考にしてください。
Instagram広告のフォーマットの種類
Instagram広告のフォーマットは「画像」「動画」「カルーセル」「コレクション」の4種類があり、広告の配置によって、使用できるフォーマットが決まっています。広告の目的や内容に合わせて使い分けてください。
A)画像
<配置:フィード/ストーリーズ/発見タブ>
Instagramに投稿した写真や、広告用に制作した画像などを、フィードやストーリーズ、発見タブにて配信するクリエイティブとして使用できます。
画像そのものにテキストを記載することもできます。画像内のテキストは全体の20%未満に抑えると、パフォーマンスが高くなるというデータもFacebook公式から紹介されています。(※4)
B)動画
<配置:フィード/ストーリーズ/発見タブ/IGTV/リール>
Instagram広告では、動画をクリエイティブとして使うこともできます。動画の長さは1〜120秒ですが、モバイルでは短い動画の方がエンゲージメントが高まるとされています(※5)。
C)カルーセル
<配置:フィード/ストーリーズ>
1つの広告枠に、複数の画像や動画のそれぞれに見出しや文章をつけて配信できるフォーマットです。最大10点の画像や動画を追加できます。
画像や動画ごとに別のURLリンクを設定できるため、1つの広告枠の中で、複数の商品を紹介することも可能です。商品の使い方や製造プロセスなどを、紙芝居のように見せることもできます。
D)コレクション
<配置:フィード/ストーリーズ>
カバー画像(メインの大きな画像)の下に小さい画像(製品画像)が複数表示されるフォーマットです。画像をタップするとフルスクリーンで表示されます。カバー画像は動画に置き換えることも可能です。また、製品画像は手動で指定することも、自動で選び出して表示させることも可能です。
アパレルやインテリアなどは、広告商品と関連商品を組み合わせて、コーディネートを見せるといった活用方法があります。
配置とフォーマット以外にチェックしておきたい配信方法
基本的にはここまで紹介した配置5種類とフォーマット4種類の組み合わせでInstagramに広告を配信しますが、さらに広告の効果を高めてくれる+αの機能があります。
ここからは「スライドショー広告」「インスタントエクスペリエンス」「ダイナミック広告」「リード獲得広告」「アンケート広告」を説明します。
スライドショー広告
<配置:フィード/ストーリーズ/発見タブ>
<フォーマット:画像/動画>
画像や動画がスライド形式で、自動的に切り替わるフォーマットです。2~15点の画像を組み合わせて1つのスライドショー形式の広告を配信します。例えば、1つの商品を複数のアングルから撮影し、それらを組み合わせることで商品を上下左右から見せるのも一つの活用方法です。
インスタントエクスペリエンス(旧キャンバス)
<配置:フォーマットごとに変わる>
<フォーマット:画像/動画/カルーセル/コレクション>
モバイル端末で広告をタップすると、広告が画面全体に表示される広告です。フィードやストーリーズにおいて広告がフルスクリーンで表示されるため、視覚的なインパクトが強く、没入感がある広告です。
フォーマットごとに利用できる配置は以下のリストで確認してください。広告作成の際に、インスタントエクスペリエンスで使用するフォーマットを選択できます。
フォーマットごとに利用できる配置
フォーマット | 配置 |
---|---|
シングル画像またはシングル動画 | Instagramフィード Instagramストーリーズ Instagram発見タブ |
カルーセル | Instagramフィード Instagram発見タブ |
コレクション | Instagramフィード Instagram発見タブ |
ダイナミック広告
<配置:フィード/ストーリーズ>
<フォーマット:画像/カルーセル/コレクション>
通常は、広告出稿者が表示するクリエイティブを指定して広告が配信されますが、ダイナミック広告はオーディエンス(配信対象)の行動や興味関心に合わせて配信できます。商品情報を事前にアップロードしておくことで、適切なクリエイティブを自動的に生成して配信される広告です。
例えば、商材の種類や取り扱う商品数が豊富な百貨店や小売店のECサイトでは、どのユーザーにどの商品の広告を表示するかを選ぶのが難しいと思います。また、各商品にあわせたクリエイティブの制作は多くの時間がかかり、負担も大きいでしょう。
こういった場合にダイナミック広告を活用すれば、各ユーザーの興味関心とのマッチ度が高い商品情報をもとに、各ユーザーにあった広告を配信でき、高いコンバージョン率が期待できます。また、サイトの商品情報からクリエイティブを自動的に生成して表示してくれるため、あらかじめクリエイティブを制作しておく必要がなく、業務負担を軽減できます。
リード獲得広告
<配置:フィード/ストーリーズ>
<フォーマット:画像/動画>
Instagram上で、氏名やメールアドレス、電話番号などのフォーム入力を促すことができるフォーマットです。ユーザーが広告をクリック後、サイトに遷移せずにInstagram上で完結できるため、ユーザーへの負担も少なく済みます。ニュースレター(メルマガ)の購読やホワイトペーパーのダウンロードなどへの活用が想定されるでしょう。なお、フィード広告とストーリーズ広告でキャンペーンの目的を「リード獲得」に設定した場合のみ配信できる広告です。
アンケート広告
<配置:ストーリーズ>
<フォーマット:画像/動画>
ストーリーズでアンケートスタンプ(選択肢のボタン)を追加して広告配信することで、オーディエンスに対してアンケートを実施できる広告です。アンケートスタンプの2択のうちのいずれかをタップすると、関連したおすすめ商品を表示してECサイトの商品ページへ誘導する、または興味がある商品やサービスに対する意見を聞くなど、市場調査や満足度調査にも活用できます。アンケートのリーチ数や回答者数、集計結果などは、広告マネージャで確認できます。
まとめ
Instagramは若年層の利用率が高いため、EC事業者が若い世代にリーチする上で重要なプラットフォームです。Instagram広告のキャンペーンの目的を「リーチ数」に設定すれば潜在層を狙えますし、「コンバージョン」に設定すれば顕在層を狙うこともできます。
まずは広告の種類と各フォーマットの違いなど、Instagram広告の基本知識をおさえることで、自社サイトにとって効果的な広告手段なのか、どう活用できそうかなどを考えるきっかけとしてみてください。運用を始めるか否かの検討段階になれば、自社での運用か、運用代行業者に委託するのかなど具体的な運用方法やKPI設定などの計画を練っていきましょう。
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