noteをECの集客やファン作りに活用するには?コンテンツマーケティングのコツをnoteさんに聞いてみた

noteをECサイトの集客やファン作りに活用するには?コンテンツマーケティングのコツをnoteさんに聞いてみた

企業や個人が文章、写真、イラスト、動画などを投稿できるメディアプラットフォーム「note」は、個人用のブログだけでなく、ECサイトのコンテンツマーケティングにも活用できます。短期間で手軽にオウンドメディアを立ち上げることが可能で、記事からECサイトに誘導する機能(note for shopping)も備えているのが大きなメリットです。ECサイトへの集客や、ブランドのファン作りにつながるコンテンツを作る方法とは何か、本記事で解説します。

noteとは?

note トップページ

出典:note トップページ

noteは、文章や画像、音声、動画を投稿して、ユーザーがそのコンテンツを楽しんで応援できるメディアプラットフォームです。ブログのようなサービスですが、読者は好きなアカウントをフォローし、記事に「スキ」を付けたりシェアしたりできるなど、SNSのような機能も備えています。

note 投稿された記事

(左)投稿された記事
(右)記事の最後に「オススメする」(シェア機能)や「スキ」をつける機能、フォロー機能、SNSでの拡散機能などがある

出典:note株式会社 公式アカウント 「noteサービス開始7周年、インフォグラフィックを公開。ユーザー向け「コミュニティガイドライン」など新施策も発表! #note7周年」2021年4月

note 管理画面

「書くこと」に集中できるようにシンプルなデザインになっている。

出典:note 管理画面(スクリーンショットを加工して掲載)

月間アクティブユーザーは6,300万

note 月間アクティブユーザーの推移

noteの月間アクティブユーザー数の推移

出典:note株式会社 公式アカウント「noteの月間アクティブユーザーが6,300万突破。法人利用も半年で倍増の1,600件に。」2020年6月

noteの月間アクティブユーザー(MAU)は2020年5月時点で6,300万。MAUは2018年以降に成長が加速し、2020年には大幅な増加が見られました。

会員登録数は2021年3月末時点で約380万人、総記事数は約1,500万本です。2020年度はnoteの利用者が大幅に増え、会員登録数は1年間で約1.8倍、記事総数は約2倍に増えました。会員登録数やMAUが急増した理由について、note株式会社は次のように述べています。

コロナ禍での「伝えたい」「つながりたい」という気持ちから、人々にとってオンラインでの発信の重要性が高まっていることがうかがえます

出典:note株式会社 公式アカウント「noteサービス開始7周年、インフォグラフィックを公開。ユーザー向け「コミュニティガイドライン」など新施策も発表! #note7周年」2021年4月

noteの特徴

noteは比較的長文でも記事が読まれやすく、商品開発のストーリーや、会社の理念などを文章で詳しく説明できるプラットフォームです。それを実現できた背景には、広告や記事のアクセスランキングを意図的に排除した設計思想があります。noteを使いこなすために押さえておくべきnoteの特徴を解説します。

広告が表示されない

noteの記事には広告が表示されません。そのため、読者は記事に没入しやすく、比較的長い文章でも最後まで読まれやすいのが特徴です。SNSでは伝えきれないような、商品開発のストーリーや企業理念などの長文を発信する場として適しています。

また、広告枠が存在しないため、記事の投稿者はアクセス数に応じた広告収入を得ることもできません。アクセス数稼ぎを目的とした乱雑な記事や過激な記事を投稿するインセンティブが働かず、内容を重視した質の高いコンテンツが投稿されやすいとされています。

記事のアクセスランキングがない

noteには記事のアクセスランキングがありません。アクセス数に関わらず、すべてのユーザーがコンテンツを投稿し続けられるプラットフォームを目指しているためです。広告が表示されないことと相まって、アクセス数を競い合うような雰囲気が醸成されにくいプラットフォームです。

双方向のコミュニケーション

読者がアカウントのフォローや記事のシェアなどを行った際、投稿者があらかじめ設定したお礼のコメントを表示できます。書き手と読者の距離を縮め、双方向のコミュニケーションを促進する機能です。

ビジネスにもつなげられる

法人プラン「note pro」

noteには月額5万円の法人向けサービス「note pro」があります。独自ドメインやオリジナルのロゴ、メニュー項目、テーマカラーなどを設定し、noteのプラットフォーム上でオウンドメディアを立ち上げることができます。note proの導入・運用に関するトレーニングを受けられるオプションサービスもあります。

コンテンツ販売機能(単発課金・定期購読)

noteには記事の販売機能があります。記事を1本単位で販売できるほか、月額課金の「マガジン」で定期購読サービスを提供することも可能です。例えば、調理家電を販売しているECサイトであれば、製品を活用して簡単に作れるレシピを毎月発行するなど、コンテンツ販売に活用できます。

編集部が選ぶおすすめ記事

noteに投稿された記事をnote編集部が読み、面白い記事をピックアップしてトップページに掲載しています。目視でキュレーションを行うことで、アルゴリズムでは発見できない価値ある記事を発掘し、読者に届けています。自社が投稿した記事がnote編集部にピックアップされると、新しい読者(見込み客)との出会いが生まれるかもしれません。

ECサイトの集客に使える「note for shopping」

noteにはECサイトの集客に活用できる機能「note for shopping」があります。noteに投稿した記事内に商品情報を表示させる機能で、読者をECサイトへ誘導するのに役立ちます。

noteの管理画面で記事を作成する際に、商品ページのURLを入力すると、商品の画像、説明文、価格、URLが記事の途中にカード形式で表示されます。「ショップで購入する」をクリック/タップするとECサイトの商品ページに遷移します。

なお、note for shoppingを利用できるのは、noteと連携しているECプラットフォームやECパッケージシステムに限られます。弊社のEC構築パッケージ「HIT-MALL」もnote for shoppingに連携可能です。連携していないECサイトの商品ページURLを設定した場合は、URLが記事にそのまま表示されるか、カード形式で画像やタイトルなど一部の情報のみが表示されます。

note for shopping

note for shoppingを活用すると、商品情報を記事の中に埋め込んで表示し、ECサイトに誘導できる。

出典:note株式会社 公式アカウント「note記事内でのEC表示機能に、新たに6つのECプラットフォームがパートナーに参画し、合計11サービスになりました」2018年10月

ストア機能で商品一覧を表示

ECサイトで販売している商品をnoteのアカウント上で一覧表示する「ストア」機能もあります。noteのクリエイターページで「設定」を開き、ストアタブのフォームにストア機能用のURLを入力すると、アカウントのトップページに「ストア」タブが表示されます。ストア機能は、noteと連携済みのECプラットフォームのみ利用できます。

note 「ストア」タブ

出典:noteヘルプセンター「ECサイトで販売している商品の一覧ページを表示する

noteで始めるコンテンツマーケティングのコツ

noteを活用すれば、WordPressなどのCMS(コンテンツマネジメントシステム)を使わずにオウンドメディアで自社のコンテンツを発信することができます。CMSを使ってオウンドメディアを運用する場合、デザイン制作やサーバ管理業務が発生しますが、noteを使えばそれらの運用業務が発生せず、コンテンツ制作に集中することができます。

そこで、noteをECサイトのコンテンツマーケティングに活用したい企業のために、記事のテーマを考えるヒントや、読まれる記事を書くコツをnote株式会社様に教えていただきました。

1本目のテーマは「noteを始めた理由」

noteで最初に何を書くか悩んだら、「noteを始めた理由」を書くことをおすすめします。noteで情報を発信しようと思った理由や、コンテンツを通じて読者に伝えたいことを率直に書いてみてください。

アカウントのフォロワーを増やすには、まずは自分たちのことを知ってもらうことが必要です。創業の経緯、企業の歴史、商品を作った理由、ものづくりへの想いなどを書くのも良いでしょう。

商品ではなく商品のストーリーを語る

商品を紹介するときは、単なる宣伝にならないように注意が必要です。商品のアピールポイントばかりを強調するのではなく、ECサイトの商品ページには掲載しきれない作り手のこだわりや、商品開発にまつわるストーリーを伝えることも意識してみてください。その上で、商品そのものの価値が、他社の商品とどう違うのか。また、その商品を買うことで、機能的な価値以外にどのような価値を得られるのかを伝えることも大切です。

消費者目線で役立つ情報を提供

記事を書く際は、「商品を売ること」をゴールにするのではなく、消費者目線で役に立つ情報を提供することも重要です。商品の使い方やメンテナンスの方法などを解説すると、顧客にとって価値のある記事になります。例えば、革靴のメーカーなら、紹介している商品に合わせやすい服のコーディネートを紹介したり、革のお手入れ方法を解説することで、「商品を買った後」の満足度を高めることができ、ブランドのファンを増やすことにもつながるでしょう。

インフルエンサーなどとコラボレーションする

商品を普段から使用しているクリエイター(noteの投稿者)を見つけたら、コラボレーションを持ちかけてみるのも良いでしょう。コラボレーションすると相手のフォロワーにもコンテンツを届けることができ、自社アカウントの認知拡大につながります。

アウトソーシングも検討

note proを契約している企業は、記事制作をnote pro編集パートナーに依頼することができます。もう一歩上流工程に踏み込んで、ブランド戦略やコンテンツ設計の支援も求める場合、note proマーケティングパートナーに相談することも可能です。なお、note proの利用者が編集パートナーやマーケティングパートナーに依頼する場合、それぞれ直接契約を結びます。(※note社に支払う紹介料は無料。委託費は各パートナーと相談)

コンテンツを作り続けるには記事を執筆できる人材が必要となり、長く続くほどテーマが枯渇していくことも課題になります。社内だけでコンテンツを作り続けることが難しい場合は、noteの公式パートナーに記事制作や戦略設計を依頼するのも良いでしょう。

参考:noteヘルプセンター「note proマーケティング&編集パートナーとは

noteを活用する際の注意点

ECサイトのコンテンツマーケティングにnoteを活用する際に注意すべき点を解説します。

商品の宣伝ばかりはNG

noteに投稿する記事が最初から商品の宣伝ばかりでは、読者はなかなか増えません。まずは消費者目線で役に立つ情報を発信し、フォロワーを増やしながら、ブランドとしてのこだわりや企業理念などを書くことで、ブランドに共感してくれるファンを育てていくことが重要です。

成果を急ぎすぎない

noteに限らず、コンテンツマーケティングは成果が出るまでに時間がかかります。開始当初から記事経由の売上高をKPIに設定すると、成果を実感できず記事更新のモチベーションも上がりません。まずはアクセス数やフォロワー数、「スキ」の数など、読者とのつながりに関する指標をKPIにすると続けやすいでしょう。

社内の協力体制が必要

会社の理念や商品開発のストーリーなどを記事にするには、経営者や開発担当者など社内の協力が欠かせません。コンテンツマーケティングの担当者だけで記事を更新するのではなく、会社として情報発信に取り組む協力体制を築きましょう。

公開前の広報チェックを怠らない

企業アカウントが投稿した記事は、読者にとっては企業の公式見解として見なされます。記事制作を社内で行うにせよ、外部パートナーに依頼するにせよ、内容に問題がないか公開前に確認する業務フローが必要です。

EC事業者がコンテンツマーケティングに取り組む意義とは

ECサイトのコンテンツマーケティングが広がっている背景には、オンラインで物を売ることの意味が、時代とともに変化していることがあります。

EC市場が成熟した現在、ツールの充実やノウハウの共有が進み、ECサイトの機能やサービスで他社と差別化することが難しくなっています。また、品ぞろえや配送の速さ、価格の安さでは大手ECモールに敵いません。一方で、そのような大手ECモール内では、激しい価格競争が繰り広げられています。

こうした時代に、まだ知名度の高くないネットショップやメーカー、地域に根ざしたお店などがオンラインで商品を販売するには、企業やブランドのファンを増やすことがポイントになるでしょう。ファンを増やすには、自分たちが大切にしている理念や、商品の本質的な価値を発信することが不可欠であり、その手段の1つとしてオウンドメディアを活用したコンテンツマーケティングがあります。

情報発信を通じて信頼を蓄積する

noteやSNSなどを活用し、特定の分野について信頼できる情報を発信し続けると、その情報を求めてフォロワーが集まります。メーカーは商品の作り手として、仕入れ販売のネットショップは目利きのプロとして、信頼される情報を発信し続けることで、その分野で一目置かれる存在になれば、消費者から「この人が勧める商品なら買ってみよう」と思ってもらえるはずです。コンテンツマーケティングでは情報発信を通じて信頼を獲得することが重要です。

しかし、EC事業者にとって、商品登録や在庫管理などの通常業務に加えて、CMSでオウンドメディアを構築し、継続的に記事を制作することは、負荷にならないとは言えません。コンテンツマーケティングに取り組みたくても、リソースや予算の兼ね合いから、踏み出せない企業もあるでしょう。そういった場合には、コンテンツマーケティングの初めの一歩として、簡単に情報発信できる「note」を活用して、スモールスタートしてみるのも良いのではないでしょうか。