ECサイトのリピート施策15選と成果を上げるポイント

ECサイトのリピート施策15選と成果を上げるポイント

ECサイトの売上を安定的に伸ばすには、繰り返し買い物に訪れてくれる「リピーター」を増やすことが重要です。既存顧客との関係維持や関係強化を目的としたリテンション・マーケティングの重要性が広く認識された現在、単品リピート通販はもちろんのこと、あらゆる商材のECサイトにおいてリピート施策が必要です。

リピーターを増やすには、価格に見合ったクオリティの商品を提供し、さまざまなサービスを提供して顧客満足度を高めることが大切です。また、ブランドコンセプトへの共感を生み出してファンを増やしていくことも重要でしょう。その上で、さまざまなマーケティング施策に取り組むことがリピーターを増やすポイントになります。

本稿では、リピート率の計算方法やリピート施策が重要な理由を解説するとともに、自社ECサイト(独自ドメインのECサイト)で実施されることが多いリピート施策を紹介します。メールマーケティングやSNS運用、デジタル広告、紙媒体の活用、ECと実店舗との連携など、押さえておきたいリピート施策を網羅しました。リピート施策で成果を上げるポイントもお伝えしますので、次のような悩みをお持ちの企業はぜひ参考にしてください。

このような企業にオススメです

  1. ECサイトにおける効果的なリピート施策を知りたい
  2. リピーターを増やしてECの売上を安定的に伸ばしたい
  3. リピート売上の拡大を通じて月商1000万円を超えたい

リピート施策とは?

リピート施策とは、企業がリピーターを増やすために行う施策の総称です。新規顧客を2回目の購入へとつなげる施策や、既存顧客のリピート率を向上させるための施策などを指します。

ECサイトにおけるリピーターの定義には幅がありますが、「一定期間に2回以上購入した顧客」をリピーターとみなすことが一般的です。初回購入から2回目の購入に至るまでの期間については「1か月以内」「3か月以内」「6か月以内」「1年以内」といった任意の期間を設定し、その期間内に2回以上購入した顧客をリピーターと定義します。

なお、単品リピート通販では定期コースに加入している会員をリピーターと定義することもあります。

リピート率の計算式

リピート率とは、新規顧客全体の中でリピーターに引き上がった顧客の割合を示す指標です。リピート率は次の計算式で求めることができます。

リピート率(%) =リピーターになった顧客の人数 ÷ 新規顧客の人数 ×100

例えば、新規顧客の人数が1,000人で、2回目の購入に至った顧客が300人であれば「300÷1,000 ×100」でリピート率は30%となります。

転換率とは?

リピート率と類似した概念として、転換率があります。「新規訪問者が購入する」「新規顧客が2回目の購入をする」など、顧客の状態が進むことを「転換する」と表現し、その割合を「転換率」として計算します。

なお、新規顧客が2回目に購入することを「F2転換」と言い、その比率を「F2転換率」と呼びます。Fは「Frequency(頻度)」の頭文字を取ったもので、2回目ならF2・3回目ならF3などのように、「F」に続く数字は購入回数を示しています。F2転換率は先ほど解説したリピート率とほぼ同義です。また、単品リピート通販などでは3回目の購入(F3転換)以降についても転換率を計算することがあります。

【転換率の例】

人数 転換率
新規訪問者 1,000人
初回購入者 100人 10.0%
2回目の購入者 40人 40.0%
3回目の購入者 30人 75.0%
4回目の購入者 24人 80.0%
5回目の購入者 20人 83.3%
6回目の購入者 18人 90.0%

リピート施策が重要である理由

ECサイトのリピート率が上がると、さまざまなメリットがあります。例えば「ECの売上が安定的に伸びていく」「販促コストが下がり、利益率が上がる」「UGCが増え、新規顧客の獲得につながる」といったことがメリットです。

リピート率向上のメリット

  1. 1.ECの売上が安定的に伸びていく
  2. 2.販促コストが下がり、利益率が上がる
  3. 3.UGCが増え、新規顧客の獲得につながる

ECの売上が安定的に伸びていく

ECサイトを利用するリピーターの人数が毎月増え、リピート売上が毎月積み上がっていく状態が確立されると、ECサイトの売上高は安定的に伸びていきます。新規顧客の購入数は広告やセール、季節要因などの影響を受けやすく、波が大きくなりがちです。一方、定期的にECサイトを訪れて買い物をしてくれるリピーターが増えることで、売上の見通しが立てやすくなります。また、リピーターが増えるとEC事業の経営基盤が安定し、商品開発やECサイトのリニューアルなど、さらなる成長に向けた投資も行いやすくなるでしょう。

販促コストが下がり、利益率が上がる

既存顧客に商品を購入してもらうために必要な販促費は、新規顧客を獲得するためにかかる販促費よりも少額で済むのが一般的です。リピーターが増えると、ECサイトの販促コストが相対的に下がり、ECサイトの利益率向上につながります。

UGCが増え、新規顧客の獲得につながる

商品購入前にインターネットで商品について調べたり、口コミをチェックしたりする消費行動が一般化した現在、UGC(ユーザー生成コンテンツ)は消費者の購入判断に大きな影響を与える重要な要素です。リピーターが増えることで、ECサイトのレビューやSNS上の口コミといったUGCが醸成されやすくなり、UGCに触れた消費者の購入を後押しすることにつながります。

自社ECサイトで検討すべきリピート施策

ここからは、自社ECサイトでリピーターを増やすための施策を紹介します。取扱商材やEC事業の規模、成長フェーズなどに合わせて、必要な施策を選択してください。

自社ECサイトの主なリピート施策

  1. 会員登録の促進/会員ランク/ポイント還元/クーポン・キャンペーン/メールマーケティング/LINE/SNS運用/リターゲティング広告/定期コース/紙媒体/休眠顧客対策/UI・UXの改善/カスタマーサポート/ライブコマース/ECと実店舗の連携

会員登録の促進

ECサイトの会員数を増やすことは、リピート施策の第一歩です。リピート施策を打つには顧客に関するデータを蓄積することが不可欠です。そのため、これから解説するリピート施策の多くは会員登録していることが前提になります。

会員登録を促進するには、会員価格の適用や会員限定セールといった特典を設け、購入フローの途中で案内すると効果的です。また、会員登録特典としてクーポンやポイントを提供するのもおすすめです。

会員ランク

ECサイトの会員制度において、購入金額などに応じた会員ランクを導入し、上位ランクを優遇することでリピーターの獲得につながります。具体的には、上位ランクはポイント還元率を引き上げたり、先行販売に参加できる特典を提供したりすることが考えられます。

ポイント還元

ECサイトでポイント還元を行うことで、会員のリピート率向上が期待できます。ポイントは顧客にとって実質的な値引きとなるため、購入意欲を高める効果が見込まれます。また、ポイントに使用期限を設けることで、貯まったポイントが消滅することを避けるために期限内に買い物をする動機にもつながります。

クーポン・キャンペーン

お誕生日クーポンや会員限定キャンペーンなどを実施することで、会員の購入意欲を刺激できます。初回購入者には、次回以降の買い物で使えるクーポンやポイントを提供するとF2転換率の向上も期待できます。

メールマーケティング

既存顧客とのコミュニケーション手段として、メールマーケティングは現在においても重要です。購入完了後にお礼を伝える「サンクスメール」や、定期的に情報を送信する「メールマガジン(メルマガ)」のほか、あらかじめ設定したシナリオにそって段階的に配信する「ステップメール」などがECでよく使用されます。

メルマガの開封率を上げるためには、顧客にとって有益なコンテンツを配信することが重要です。商品の使い方を解説する動画やお誕生月クーポン、キャンペーン情報など、開封するメリットを提供すると良いでしょう。

ここでステップメールの活用例を一つ紹介します。お試しセットを購入した新規顧客をリピーターへと引き上げるには、次のようなステップメールが考えられます。

  1. 1.購入直後:サンクスメールでお礼を伝える
  2. 2.商品到着日:商品の使い方を解説する記事や動画のリンクを送る
  3. 3.3日後:効果を実感した顧客の口コミを送り、使い続けてもらう
  4. 4.1週間後:次回購入に使えるクーポンや定期コースを案内する

LINE

LINEも既存顧客とのコミュニケーション手段として重要なツールです。LINE公式アカウントのメッセージ機能を使い、友だち登録した顧客に新商品の紹介やキャンペーンの告知、クーポンの提供などを行うことができます。サンクスメールやメルマガ、ステップメールなどをLINEで代替しているECサイトもあります。

LINEの国内月間アクティブユーザー数は9700万人(2024年3月末時点)で、年齢・性別を問わず多くの人が利用しています。LINEのメッセージは一斉送信だけでなく、みなし属性(LINEユーザーが登録した情報やそれらのユーザーの行動履歴、LINE内コンテンツの閲覧傾向やLINE内の広告接触情報から推測された属性)に基づいたセグメント配信[1]も行えます。

SNS運用

Instagram、Facebook、XといったSNSを使い、既存顧客とコミュニケーションを取ることもリピート施策の一つです。SNSアカウントのタイムラインにセールやキャンペーンなどの情報を流してECサイトに誘導したり、フォロワーが投稿したコメントに返信してエンゲージメント向上を図ったりするのも効果的です。近年はInstagramのライブ機能(インスタライブ)やTikTokのライブ機能(TikTokライブ)などを活用し、顧客との交流を通じてコアなファンを育成する事例も増えています。

リターゲティング広告

過去にECサイトで購入した顧客にリターゲティング広告を配信することで、再訪問を促すことができます。例えば、Google広告の「カスタマーマッチ[2]」では、顧客リストのデータファイルを作成してアップロードすることで、リストの対象者に広告を配信することができます。

定期コース

スキンケア化粧品やサプリメントなどの単品リピート通販では、顧客を定期コースに引き上げるのがリピート率向上のポイントです。定期コース契約時には初月無料や商品1個あたりの購入単価が下がるなど、定期コース加入のメリットを提供するのが一般的です。

紙媒体(ハガキ/ダイレクトメール/同梱物/梱包資材)

会報誌やダイレクトメールなど、紙媒体を活用してリピーターの獲得につなげているECサイトもあります。例えば、会報誌を作成し、ものづくりへのこだわりや会社の歴史・理念などを詳しく伝えることで、会社に対する安心感や信頼を高めるといった取組があります。また、オリジナルの梱包材を使用したり、初回購入者に手書きのお礼状を同梱したりすることで、ECサイトの印象を残しやすくなります。

休眠顧客対策

一定期間購入していない会員に対して、誕生月やECサイトの周年記念といった節目にクーポンなどを提供すると、休眠顧客の掘り起こしにつながります。

UI・UXの改善

使いやすいECサイトを作ることも重要なリピート施策の一環です。商品を探しやすいナビゲーションや、使いやすい絞り込み機能などを設置するとともに、お買い物ガイドなども充実させましょう。また、ページの表示速度を上げるなどUXも改善することも大切です。さらに、読み物や動画などのコンテンツを掲載し、継続的に訪問したくなるサイトを作ることも効果的です。

カスタマーサポート(電話/チャット/メール/LINE)

チャットやメールで顧客の買い物をサポートし、クレーム対応にも真摯に取り組むことで、カスタマーサポートを充実させると顧客満足度が向上し、リピート率の向上につながります。

ライブコマース

ライブコマースを配信し、コメントでのやり取りを通じて視聴者との交流を深めると顧客エンゲージメントを高めることができます。ライブコマースにはコアなファンが集まる傾向があるため、定期的に実施することでエンゲージメントを高めていけば、ブランドに関する好意的な口コミを自発的に発信してくれるアンバサダー的なファンを育てることもできるでしょう。

ECと実店舗の連携

実店舗を運営している企業は、ECと実店舗が連携することでリピート促進を図ることができます。ECと実店舗を併用する顧客は、どちらか一方だけを利用する顧客よりもLTVが高くなることが一般的です。ECと実店舗の顧客データを統合し、ポイントを共通化したり、両方で使えるクーポンを提供したりすることで、ECと実店舗の相互送客を行うと良いでしょう。

顧客に「覚えてもらう」ことを意識する

リピーターを増やす最善策は、言うまでもなく良い商品を作ることです。まずは商品力を磨き、価格に見合った価値を提供することが重要です。

とは言え、良い商品を作りさえすればリピーターが増えるわけではありません。多くの場合、消費者は思い入れのある商品を買った場合を除き、購入したお店のことをいちいち覚えていないからです。

情報が溢れ、大量消費が当たり前になった現代において、お店の存在を消費者に覚えておいてもらうことは簡単ではありません。

商品力を磨くとともに、コンテンツやサービスを充実させてお店の印象を残し、SNSやメルマガなどでコミュニケーションを図りお店のことを思い出してもらう。こうした取組の積み重ねがリピート率の向上につながります。

顧客の人物像や購買心理を高い解像度で理解する

リピート施策を実行する上で、忘れてはいけない心構えの一つが「顧客が求めている情報を届ける」ということです。メルマガやLINE、SNSなどで情報発信する際、宣伝色の強いコンテンツばかりでは、顧客から嫌われて逆効果になりかねません。

顧客から好まれるコンテンツを作るには、顧客の人物像や購買心理を高い解像度で理解することが必要です。レビューの内容やコールセンターに寄せられた意見、アンケートの結果なども分析し、自社の顧客が抱える悩みやニーズを把握しましょう。優良顧客を抽出し、その属性やライフスタイル、購入経路などを分析してコアターゲットのペルソナを設定するのも良いでしょう。

セール価格での販売を見直してみる

ECサイトのリピート率が上がらない要因の一つとして、リピートにつながりにくい顧客を集客してしまっている可能性があります。値引きやセールなどを行えば、新規顧客を獲得しやすくなりますが、価格重視の顧客ばかりが集まってしまい、値引きをしないとリピートしてもらえない弊害が生じることもあります。

新規顧客に商品を体験してもらうためには値引きが有効であることは間違いありません。しかし、そこで獲得した顧客がリピーターにならず、販促コストを回収できなければ、ECサイトの利益率は下がってしまいます。リピート率を上げるには、安売りを見直してみるのも一つの方法かもしれません。

まとめ

本稿で解説したリピート施策を実行するには、ECサイト独自の販促機能を実装したり、外部ツールをECサイトに連携したりすることも必要です。また、リピート施策を打つ際にはターゲットの絞り込みや、施策を実行するタイミングといった戦略設計も大切です。その前提としてECサイトの購買データや顧客データを分析することも欠かせません。

アイテック阪急阪神のECソリューション「HIT-MALL」は、リピート施策もカバーする多彩なEC機能を備えたパッケージシステムをベースに、企業ごとに必要な機能をカスタマイズして実装することができます。システムの構築・運用だけでなくEC運営の支援サービスも提供しており、販促施策の企画・検討段階から施策の実行までサポートします。

打ちたい施策を実現できるカスタマイズ可能なECパッケージへのリプレイスを検討している企業や、リピート施策を強化したい担当者は、下記のページからお気軽に問い合わせください。

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