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ECサイト運用担当が知っておきたい運用業務の全体像
運用業務の全体像を把握することで、業務の優先順位が分かりやすくなり、目的やゴールを理解しやすくなります。本記事では、EC担当者が知っておきたいECの運用業務の概要を解説します。
ECサイトの運用に欠かせない「ささげ」。用語の意味や業務内容、求められるスキル、アウトソーシングのメリット・デメリットなどを解説します。
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ECの「ささげ」とは?
「ささげ」とは、「撮影(さつえい)」「採寸(さいすん)」「原稿(げんこう)」の頭文字を1文字ずつ並べた造語です。ECサイトに掲載する商品画像や説明文、サイズ表記など、商品情報を作成することを目的とした業務を指す言葉です。
なぜ、ささげ業務は重要なのか
ECサイトでは、購入前の商品を手に取ることができないので、商品画像やサイズの記載、商品説明などが欠けていると、商品の良さを伝えきれないためです。
ECサイトに掲載する商品画像や説明文は、実店舗に例えるなら「店舗スタッフによる接客」のようなもの。「ささげ」は商品の情報をユーザーに正確に伝えるとともに、ユーザーの購買意欲を高める役割があります。「商品画像や説明文の良し悪しが、ECサイトの売上に影響を与えることがある」ということを意識しましょう。
ささげ(撮影・採寸・原稿)の業務内容
撮影
ECサイトや広告などに掲載する商品の写真を撮影します。撮影するのは商品単体だけでなく、アパレルなら商品を着用したモデル、家具・インテリアなら商品を配置した室内、食品なら盛り付けイメージなど、商品の利用シーンを想起させる写真を撮影することが多いです。静止画だけでなく動画を撮影することもあります。
採寸
入荷した商品のサイズ(寸法)を計る業務です。商品の3辺(縦・横・高さ)の長さだけでなく、衣類であれば袖や丈、椅子なら脚の長さや背もたれの高さなど、細部までECサイトに掲載することでユーザーは商品の大きさをイメージしやすくなります。また、配送に使用する梱包資材の大きさや、送料を決めるためにも採寸が必要です。
原稿
商品の説明文やキャッチコピーなどを作成する業務です。商品の素材や製法、使い方、原産地など、商品画像だけでは伝えきれない情報をテキストで補います。商品情報を正確に伝えるのはもちろんのこと、目を引くキャッチコピー、SEOを意識した商品タイトル、思わず買いたくなる説明文など、プロモーションの要素も求められます。
ささげ業務のポイント
撮影・採寸・原稿の業務を売上アップにつなげるためのポイントを解説します。
撮影のポイント
①商品の詳細情報を伝える
正面からの写真だけでは伝わりにくい、商品の細かな部分の写真も用意しておきましょう。素材や透け感が伝わる画像、服の裏地やバッグ内側のポケットなどの機能性や装飾が分かるアップの写真などを用意することで、よりユーザーの興味を惹くのに役立ちます。
②利用シーンを想起させる
アパレルならさまざまなサイズのモデルの着用画像を用意しておくことで、ユーザーが購入するサイズを決める際にイメージしやすくなります。 雑貨やインテリアの場合、商品単体ではなく、扱っている商品をいくつか組み合わせて撮影することで、他の商品にも手を伸ばしてもらいやすくするのもよいでしょう。
③商品の長所を伝える
商品のセールスポイントを画像で伝えます。例えば、シルエットが綺麗なスカートなら、平置きではなく商品を吊るし、着用時のウエスト幅やドレープをイメージしやすいように撮影します。
採寸のポイント
①細部まで採寸する
採寸時には商品の3辺(縦・横・高さ)の長さだけでなく、洋服なら袖や丈、椅子なら脚の長さや背もたれの高さなどをできるだけ細かく採寸し、掲載しましょう。
②サイズ表記を統一し、分かりやすく掲載する
「サイズ表記が分かりにくい」「同じMサイズなどの表記でも商品によってサイズ感が異なる」などユーザーの想定と違う商品が届いてしまうとクレームや返品の原因になります。商品の細部まで採寸し、表記サイズの基準を統一しておくことで、サイズ違いによる返品を減らすことにつながります。 また、サイズ規格が同じである他商品とサイズ感に差がある場合には、「この商品は小さめサイズです」といった注意書きを追加するなど、商品ごとの性質を分かりやすく掲載しておくことも重要です。
洋服以外ではアクセサリーやバッグなど、一定サイズで表すのが難しい商品についても、採寸したサイズを細かく掲載しておきましょう。
原稿のポイント
①基本情報を押さえる
商品説明文は商品の長所を分かりやすく、簡潔に伝えることが重要です。アパレルであれば、サイズ、素材など、食品であれば賞味期限や原産地といった基本情報も漏れなく記載しましょう。
②5W2Hを意識する
商品説明文を書く際、5W2Hを意識すると商品の特徴が伝わりやすくなります。
商品説明文の5W2H
- When(いつ)
- いつ販売するのか(発売日、販売期間)
- Where(どこで)
- どこで作られたのか(生産国、製造場所)
- Who(誰が)
- 誰が使う商品なのか(ターゲット層)
- What(何を)
- どのような商品なのか(商品の特徴)
- Why(なぜ)
- なぜお薦めするのか(買うべき理由)
- How(どのように)
- どのように使うのか(使い方)
- How much(価格)
- 値段はいくらするのか(価格)
③SEOを考慮
商品説明文はSEOを考慮することも重要です。自社ECサイトであればGoogleなどの検索エンジンに対応し、ECモールならモール内検索のロジックに合わせて、商品名や説明文など適切な箇所にキーワードを盛り込みましょう。
ささげ業務をアウトソーシングするメリット・デメリット
「ささげ」をアウトソーシングする場合、在庫を預けている倉庫会社や、ささげ業務の代行会社などに委託します。また、業務の一部を撮影スタジオやフリーランスのカメラマン、ライターなどに委託することもあるでしょう。それぞれのメリット・デメリットを解説します。
ささげ専門の代行会社に委託
メリット
ささげ業務をアウトソースすることで、商品情報作成に関連する撮影・採寸・原稿の業務を一括で委託できるため、社内の業務負荷が軽減します。加えて、専用の撮影スタジオを使うため、ライティング(照明)や撮影方法などに統一感が生まれ、写真のクオリティが高くなる傾向にあります。 モデルの手配や画像の白抜きなど、付帯業務をまとめて委託できる会社もあります。
商品のサイズを自動的に採寸するサービスを活用すると、業務効率化につながります。例えば、商品を撮影してアップロードするだけで、画像認識技術で商品の⾝幅や袖丈などの⻑さを自動的に測定するクラウドサービスもあります。手作業で採寸するよりも作業時間を短縮できる可能性があるため、 採寸業務の人件費や外注費が利益を圧迫している場合、自動採寸サービスを使った場合との費用対効果を比較したうえで、導入を検討してみるのも良いでしょう。
デメリット
商品を倉庫から撮影スタジオに配送する横持ちが発生するため、送料がかかる点に加え、入荷から発売までのリードタイムが長くなる場合もあります。
物流倉庫に委託
メリット
商品を保管している倉庫で撮影や採寸を行うため、在庫を横持ちする送料がかからないことや、入荷から販売までのリードタイムを短縮できることがメリットです。
デメリット
物流倉庫の設備次第では、撮影スタジオを使う場合と比べて写真のクオリティが下がる可能性があります。また、委託できる業務は撮影のみや、撮影と採寸のみなど、一部に限られる場合があります。
フリーランスに委託
メリット
フリーランスのカメラマンやライターに業務を委託することで、委託費用を安く抑えられる可能性があります。
デメリット
撮影、採寸、原稿の業務を別々のフリーランスに委託すると管理業務の負担が増えます。また、信頼できるフリーランスを自力で探し、品質管理も自社で行う必要があります。
表記ルール策定やスケジュール管理も重要
商品画像や文章を制作する際のガイドラインを作ると、ECサイトの世界観に統一感を出すことができるうえ、標準化によって業務効率が上がります。商品画像は画角や色調、明るさなどのルールを決めておきましょう。採寸の対象項目は商品カテゴリごとに決めておくと、採寸作業がスムーズに進みます。ECサイトで使う文章の言い回しや表記のルールも統一するとなお良いでしょう。
「ささげ」の業務は、商品の発売日から逆算してスケジュールを組む必要があります。画像の加工や商品登録、表示チェックなどの日数を考慮し、ささげ業務の作業スケジュールを組みましょう。