BtoB ECとは?成功に向けて知っておきたい実現のメリットや課題

オムニチャネル利用の実態は?EC事業者が知っておきたい消費者行動を調査

企業同士がオンラインで商品を売買するBtoB ECを導入するメーカーや商社が増えています。BtoB ECサイトを活用すると、対面営業ではリーチしきれなかった新規顧客を開拓できるほか、受注業務の効率が上がるなど、さまざまなメリットがあるためです。

実際、国内のBtoB EC市場は拡大を続けており、2024年の市場規模は前年比10.7%増の465兆円に達しました。EC化率は40.0%[※1]に上昇しています。

しかし、BtoB ECに注目が集まる一方で、「BtoB ECサイトを作りたいが、何から始めれば良いかわからない」「売れるBtoB ECサイトを作るためのポイントを知りたい」といった悩みや課題を持つ方も少なくありません。

そこで本記事では、サイト構築の注意点やよく実装される機能、システムの選び方などBtoB ECを成功させるポイントを解説します。

BtoB ECについて網羅した記事として、目次の1〜4ではBtoB ECサイトの種類やメリットといった基礎知識をお伝えし、5〜8では売れるBtoB ECサイトを作るためによく実装される機能やサイト構築の注意点といった実践的な内容を解説しています。

BtoB ECサイトを活用して卸事業の効率化と顧客満足度向上を実現した成功事例も紹介しますので、法人営業のデジタル化を加速させたい企業様は、ぜひ参考にしてください。

[※1]出典:経済産業省「令和5年度 電子商取引に関する市場調査 報告書」P86 (PDF)

1.BtoB ECとは?

まず、BtoB ECの定義や市場規模について解説します。BtoB ECとは、仕入れや卸売りといった企業間取引をオンラインで行うことを指します。BtoBとはBusiness to Business(企業間取引)の略称で、ECはElectronic Commerce(電子商取引)の略称です。直訳すると「企業間の電子商取引」になります。

なお、BtoB ECを行うオンラインショップは「BtoB ECサイト」や「卸サイト」などと呼ばれます。

BtoB ECという言葉は、個人向けのネット通販を指す「BtoC EC」や、フリマアプリなど個人間取引を指す「CtoC EC」と区別するために使われます。これらの用語はEC専門メディアや経済産業省の資料などに登場するほか、ECベンダーとの商談でもよく使われますので、覚えておくと良いでしょう。

国内のBtoB EC市場は465兆円でEC化率は40%

国内のBtoB EC市場は、2023年時点で前年比10.7%増の465兆2372億円でした。EC化率は前年比2.5ポイント増の40.0%です。

BtoB EC市場規模の推移

[※1]出典:経済産業省「令和5年度 電子商取引に関する市場調査 報告書」P87 (PDF)

業種別のEC化率を見ると、食品や輸送用機械が7割を超えている一方、建設・不動産業や広告・物品賃貸は1割台にとどまります。なお、この市場規模にはEDI[※2]での受発注も含まれます。

BtoB EC市場規模の業種別内訳

[※1]出典:経済産業省「令和5年度 電子商取引に関する市場調査 報告書」P87 (PDF)

[※2]用語解説:EDI

EDIとは、Electronic Data Interchange(電子データ交換)の略称で、企業や行政機関などがコンピュータをネットワークで繋ぎ、伝票や文書を電子データで自動的に交換することです。

※出典:一般財団法人日本情報経済社会推進協会

2.企業がBtoB ECを導入するメリット

メーカーや商社、問屋などがBtoB ECを導入すると、販路拡大による売上アップや受注業務の効率化など、さまざまなメリットがあります。主なメリットは次の3点です。

BtoB ECサイト導入のメリット

  1. 1.販路拡大による売上アップ
  2. 2.受注業務の効率化
  3. 3.マーケティングへのデータ活用

1.販路拡大による売上アップ

BtoB ECサイトを開設すると、新規顧客の獲得が期待できます。仕入れ先を探している企業が検索エンジンやリスティング広告、SNSなどからBtoB ECサイトに流入するためです。地方の中小企業や個人商店など、対面営業ではリーチできなかった企業を開拓できる可能性も広がります。

ポイント

  1. 1.検索エンジンや広告、SNSからの新規顧客の流入が期待できる
  2. 2.地方の中小企業や個人商店など、対面営業ではリーチしにくい顧客を獲得できる

2.受注業務の効率化

BtoB ECサイトを導入すると受注業務の効率が向上します。

例えば、FAXなどアナログの注文書を使い、注文内容を手作業で受注システムに入力している企業は、BtoB ECサイトを活用することでこれらの作業を削減できます。紙の注文書を顧客ごとにファイリングする必要もありません。

また、ECサイトに価格を明示すれば受注前に見積書を作成する手間も省けます。クレジットカード決済など前払いを導入すれば、新規取引先の与信審査をする必要がなく、売掛金の焦付きリスクを避けられます。与信がある企業には掛け払い(後払い)を提供し、支払い業務を効率化できます。

このように、BtoB ECサイトを活用すると営業スタッフや受注スタッフの業務負荷が軽減され、労働時間の削減によって働き方改革が進みます。さらに、空いた時間で売上アップにつながる業務を行うなど、攻めの経営にシフトできます。

ポイント

  1. 1.FAXなどアナログの注文書のやり取りを削減できる
  2. 2.見積書のやり取りや、与信審査の手間を減らせる
  3. 3.空いた時間で売上アップのための業務を行うことができる

3.マーケティングへのデータ活用

BtoB ECを導入するメリットの3つ目は、ECサイトのデータをマーケティングに活用できることです。ECサイトの閲覧履歴やクリック率、ヒートマップなどを分析することで、「顧客がどのような情報に興味を持っているのか」といったインサイトを得られます。これらの情報はECサイトのページ改善だけでなく、商品開発や法人営業のセールストークにも役立ちます。

また、ECサイトの購買データをCRMに活用することも可能です。例えば、購入履歴を基に顧客セグメントを構築し、セグメントごとにメルマガやクーポンを出し分ける施策があります。休眠顧客を抽出してメルマガやDMを送付するなど、リピート施策も効率的に実行できます。

ポイント

  1. 1.サイト閲覧履歴などの行動データをマーケティング施策に活かせる
  2. 2.データドリブンな商品開発を行える
  3. 3.購入履歴を基にセグメントを構築し、CRM施策を打てる

3.BtoB ECとBtoC EC(消費者向けECサイト)の違い

BtoB ECは購入プロセスや注文単価、商習慣、支払い条件などがBtoC EC(消費者向けECサイト)と異なります。その違いを理解しておくとBtoB ECサイトに必要な機能への理解が深まります。以下に、BtoB ECとBtoC ECの主な違いを解説します。

BtoB ECとBtoC ECの違い

購入の意思決定に複数の人が関わる

企業がBtoB ECサイトで商品を仕入れる場合、購入の意思決定に複数の人や部署が関わることも少なくありません。例えば、購入の是非を判断するために管理職を交えて会議を開き、さらに、予算を確保するために役員の承認を得るなど、購買担当者以外にもさまざまな人が関わります。

BtoB ECサイトを構築する際は、実際に注文する人(購買部門の担当者など)の背後に、決裁権を持つ管理職や役員がいることを意識しましょう。具体的には、BtoB ECサイトで注文すると承認メールが関係者に送信され、決裁権者が承認すると注文が確定するといった機能を実装すると良いでしょう。

大口注文が多い(原則まとめ買い)

BtoB ECは大口注文が多いことも特徴です。ECサイトにバンドル販売(まとめ買い)機能を実装し、まとめ買いのニーズに対応すると良いでしょう。まとめ買いを促進して客単価を上げるには、100個/200個/500個/1000個といったセット組の商品を作り、注文個数が増えるほど1個あたりの単価が安くなるように卸価格を設定するのも効果的です。

販売条件が顧客ごとに異なる場合がある

法人取引では販売条件が顧客ごとに異なることが珍しくありません。掛け率を顧客ごとに変えたり、特定の顧客のみに販売する型番(留め型)を製造するケースも目立ちます。顧客との関係性や与信審査の結果にもとづいて支払いサイクルを変更することもあるでしょう。

顧客ごとに商品や価格などの表示内容を変えられるようにしておくと、BtoB特有のニーズにきめ細かく対応できます。

掛け払いが多用される

企業同士の商取引では掛け払い(後払い)が広く使われます。BtoB ECサイトの決済手段として、クレジットカード決済や銀行振込といった支払方法に加え、掛け払いや請求書発行の機能も必要です。

4.BtoB ECサイトの種類(クローズ型・オープン型・半クローズ型)

1.クローズドBtoB ECサイト

「クローズドBtoB ECサイト」とは、商品情報や販売価格を公開せず、販売者(EC事業者)が承認した企業のみが閲覧・購入できるECサイトです。既存の取引先にアカウントを提供するほか、新規顧客が利用する際は審査を経てアカウントを発行します。取引先ごとに商品の掛け率を変えている場合や、留め型がある場合などに向いています。

デメリットは、商品や価格が非公開であるため新規顧客を獲得しにくいこと。また、Web上に公開しているコンテンツが少ないとSEO効果が上がらず、検索エンジンからのオーガニック流入を獲得しにくくなる可能性があります。

2.オープンBtoB ECサイト

「オープンBtoB ECサイト」は、商品情報や価格を公開し、幅広い顧客から注文を受け入れる形態です。販売者(EC事業者)による承認制ではなく、企業情報やクレジットカード情報などをWeb上で入力して会員登録すれば購入できます。顧客にとって買い物のハードルが低く、販売者は新規顧客を獲得しやすくなります。大手BtoBサイトではオフィス通販の「アスクル」や工具通販の「MonotaRO」などがあります。

デメリットとしては、卸価格をエンドユーザーや競合企業に知られてしまうこと。また、価格や取引条件は原則として一律にする必要があります。

3.半クローズドBtoB ECサイト

「半クローズドBtoB ECサイト」は、オープン型とクローズド型の中間に位置するECサイトです。

例えば、商品情報は誰でも閲覧できるようにし、価格は会員のみ閲覧できるようにします。Web上で会員登録の申請を行えるようにし、販売者(EC事業者)が承認した会員のみが価格の閲覧や購入を行うことができます。

新規購入のハードルを下げつつ、卸価格は非公開にして顧客ごとに適用するなど、バランスが取れたBtoB ECサイトを作ることが可能です。

5.売れるBtoB ECサイトを作る5つのポイント

売れるBtoB ECサイトを作るには、事前準備からシステム開発、立ち上げ後の運用まで、各フェーズで押さえておくべきポイントがあります。「BtoB ECサイトを立ち上げたのに利用者が増えない」「ECと業務システムのデータ連携でエラーが起きる」「既存顧客から不満が出てしまった」といった失敗を避けるために、次の5つのポイントを確認してください。

【BtoB ECサイトのポイント】

  1. 1.開発に着手する前に「事業戦略」を策定する
  2. 2.「要件定義」がBtoB ECの成否を左右
  3. 3.業務システムとのデータ連携も重要
  4. 4.セキュリティの堅牢性やサーバの安定稼働が必須
  5. 5.Web集客や既存顧客への告知も必要

開発に着手する前に「事業戦略」を策定する

売れるBtoB ECサイトを作るポイントの1つ目は、サイト構築に着手する前にBtoB ECの事業戦略を策定することです。法人営業をデジタル化する目的や、ビジネスにおけるBtoB ECサイトの役割を議論することも欠かせません。

「BtoB ECサイトを活用してビジネスをどのように改善したいのか」といったビジョンを描き、既存の受注方法における課題を整理した上で、ECサイトの仕様や機能を考えることが重要です。

BtoB ECサイトは単なる販売チャネルではありません。営業活動や受注フローをデジタル化することは、企業の経営やマーケティングの戦略にも密接に関連します。BtoB ECサイトを立ち上げる際は、経営陣を交えて最適なBtoB ECサイトのあり方を議論してください。

「要件定義」がBtoB ECの成否を左右

BtoB ECの事業戦略を策定したら、その戦略に基づいてECサイトの要件定義を行います。ECサイトの目的を達成するために必要な機能をリストアップし、実装にかかる費用や開発期間を踏まえ、どこまで実現すべきか検討してください。

実現したい機能を全て網羅しようとすると、システム開発の費用が莫大な金額になるほか、機能が多すぎてかえって使いにくいECサイトになってしまう場合もあります。機能が担保すべきことと、運用でカバーすることを整理して要件定義を行うことが大切です。

BtoB ECサイトの要件定義は複雑であり、高度な知見が求められます。BtoB ECサイトの構築実績が豊富なベンダーに依頼すると良いでしょう。

なお、要件定義を行う際は、ターゲット層を具体的にイメージし、顧客が仕入れ先をインターネットで探すときの心理状態や、ECサイトを使う際のフローなども高い解像度で想像しながら検討してください。

業務システムとのデータ連携も重要

BtoB ECサイトを活用して企業の生産性向上を図る場合、基幹システムや倉庫管理システム、会計システム、顧客管理システムなどの業務システムとの連携が必要です。ECプラットフォームやECパッケージを選ぶ際は、業務システムとの連携が可能な拡張性のあるシステム製品を選択すると良いでしょう。

セキュリティの堅牢性やサーバの安定稼働が必須

ECプラットフォームやECパッケージを選ぶ際は、セキュリティの堅牢性やサーバの安定性も重要です。サイバー攻撃などによってBtoB ECサイトから顧客情報が漏えいしたり、ECサイトのサーバが頻繁にダウンしたりするようなことがあれば、取引先との信頼関係にも悪影響が出ます。導入企業の稼働状況などを参考に、システムのセキュリティやサーバの安定性も必ず確認してください。

Web集客や既存顧客への告知も必要

BtoB ECサイトを立ち上げたら、利用者を増やすための施策を打つことが重要です。新規取引先を獲得するにはリスティング広告やSNS広告、SEOといったWeb集客の施策が欠かせません。

既存顧客の利用を促すために、対面や電話でECサイトを案内することも必要です。企業の購買担当者の中には、ITに苦手意識を持っていたり、注文フローを変えるのが面倒という理由で、FAXなど従来のツールを使い続けたがる人もいます。そういった顧客には「注文の手順が簡単になる」「24時間いつでも発注できる」といったBtoB ECのメリットを丁寧に説明してください。ECサイト限定でポイント還元するなど、コストメリットを提供するのも効果的でしょう。

BtoB ECの課題解決と売上拡大を「HIT-MALL」がサポート

アイテック阪急阪神が提供している「HIT-MALL」は、企業ごとのニーズに合わせて機能開発できるカスタマイズ性の高いEC構築パッケージです。業務システムとのAPI連携も可能です。

システム提供に加え、要件定義や商品登録、ページ制作などECサイトの立ち上げもサポートします。運用開始後はコールセンターやWebプロモーション、アクセス分析・改善提案、サーバ・インフラ管理などもワンストップで支援・代行します。

「HIT-MALL」はBtoB ECの課題解決と売上拡大をサポートします。BtoB ECの導入を検討している企業様は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

6.BtoB ECサイトによく実装されている機能とシステム仕様

ここまでに解説してきた内容を踏まえ、BtoB ECサイトによく実装されている機能を紹介します。ECプラットフォームやECパッケージに求められる仕様も解説しますので、プラットフォーム選びの参考にしてください。

導入を検討する際、自社の要件に合うように全ての機能が実装されているプラットフォームを探すのは困難です。そのため、機能カスタマイズを行うべき要件や、既存の機能に運用を合わせる要件など、要件をすべて洗い出し、プラットフォーム提供者の話を聞いたうえで取捨選択しましょう。

実装されることが多い機能

【販促系】 見積作成/一括注文(バンドル販売)/サンプル販売/送料の表示/納期の表示/注文承認/掛け払い

【CRM系】 マイページ/得意先別の掛け率設定/得意先別の商品(在庫)表示/複数ID管理

見積作成

法人取引では注文前に見積もりを依頼するのが一般的です。社内規定で見積書の取得を必須としている企業もあります。見積依頼フォームや、カートに入れた商品で見積書を自動作成する機能などをECサイトに実装すると良いでしょう。

一括注文(バンドル販売)

一括注文(バンドル販売)機能があると、同一商品をまとめ買いする企業にとって便利です。購入数量が増えると商品1個あたりの単価が下がるように価格を設定すると、まとめ買いを促進し、購入単価の引き上げが期待できます。

サンプル販売

サンプル製品を見てから注文したいと考える購買担当者もいます。商品をお試し価格で購入できるようにすると、新規顧客からの注文を獲得しやすくなります。

送料の表示

BtoB ECの送料は、納品量や配送地域によって変動するのが一般的です。商品の量によっては、イレギュラーな対応が必要になることもあります。購入数量や配送地域に合わせて送料を自動的に計算・表示する機能や、大量注文を行う際には電話や問い合わせフォーム経由で個別対応するなど、運用方法も合わせた機能実装の検討が必要です。

納期の表示

ECサイトに納期が表示されていれば、顧客は納期を問い合わせる必要がなく、購入のハードルが下がります。

法人取引では納期が重視されます。例えば、飲食店が3日後の新店オープンに合わせて備品を購入する場合、納期がオープンに間に合わなければ購入する意味がありません。納期が迫っている顧客は、価格が多少高くても納期を優先して購入する可能性がありますから、ECサイトに納期を表示することは販促にも効果的です。

注文承認

企業の購買担当者がECサイトで商品を購入する際、上長や役員などの決裁を必要とすることもあります。そういったBtoB特有のニーズに応えるには、BtoB ECサイトで注文すると承認メールが決裁権者に送信され、決裁権者が承認すると注文が確定する機能が必要です。

売掛払い

BtoB ECの決済方法として掛け払いは必須です。掛け払いや請求書発行の機能を実装しましょう。なお、新規取引先の与信審査や、掛け払いを利用した顧客に対する請求業務などを代行してくれる掛け払い代行サービスもあります。

マイページ

BtoB取引では同じ商品を繰り返し購入することが多いため、BtoB ECサイトのマイページに購入履歴を表示すれば、顧客は注文書を作成することなく簡単に再注文でき、リピート注文につながりやすくなります。

得意先別の掛け率設定

得意先との関係性や取引量などによって、顧客ごとに販売条件を変えたい場合には、卸価格(掛け率)を顧客ごとに設定する機能を実装すると良いでしょう。取引実績などに応じて顧客をいくつかのグループに分け、グループごとに掛け率を設定する方法もあります。

得意先別の商品(在庫)表示

大口の得意先に在庫を優先的に割り振りたい場合は、在庫管理システムとECサイトのデータを連携し、特定の顧客(会員ID)に在庫が優先的に表示される仕組みを作ることで対応できます。

留め型を販売する場合には、特定の顧客(会員ID)に限定して表示したり、マイページに表示したりすることで、他社に知られることなく販売可能です。

複数ID管理

BtoB ECサイトを利用する企業の中には、複数の担当者がログインして買い物をする場合もあります。複数のアカウントを会社ごとに一元管理する機能を実装すると、企業単位で購入履歴を分析でき、マーケティング施策に活かすことができます。

ECサイトと連携する業務システム

BtoB ECサイトを活用して営業活動や受注業務の生産性を上げるには、BtoB ECサイトと業務システムを連携することが必要です。ここでは、BtoB ECサイトと連携することで生産性向上が期待できる業務システムの例を解説します。

商品マスタ

ECサイトと商品マスタをAPI連携し、商品マスタに登録した商品情報(名称・型番・カラー・サイズなど)がECサイトの商品ページに自動的に反映されるようにすると、商品登録やページ更新の生産性が劇的に上がります。

在庫管理システム

EC在庫と店舗在庫を切り離して管理している場合、店舗在庫は余っているのにECサイトでは欠品するなど、在庫の偏在による機会損失が発生します。BtoB ECサイトと在庫管理システムを連携し、社内の在庫データを一元化することで、機会損失をなくし売上アップにつながります。

顧客管理システム

BtoB ECサイトと顧客管理システムを連携すると、購入履歴や問い合わせ履歴といった更新頻度が高いデータを含めて、顧客管理システムのデータベースが常に最新の状態になります。これにより、セグメント構築やマーケティング・オートメーションを実施しやすくなります。

倉庫管理システム(WMS)

BtoB ECサイトと倉庫管理システム(WMS)を連携すると、ECサイトの注文データを倉庫側に自動的に送信できます。これにより、ECサイトの注文データをダウンロードして倉庫スタッフに送る手間がなくなり、業務効率化につながります。また、夜間や休日など受注担当スタッフが不在の時間帯でも注文処理のステータスが進むため、受注から出荷までのリードタイムを短縮できます。

7.BtoB ECサイトの構築方法

BtoB ECサイトを構築する主な方法としてASPカート・ECパッケージ・フルスクラッチの3種類があります。それぞれの特徴やメリット・デメリットを解説します。

ASPカート

ASPカートとは、クラウド環境で使用するECプラットフォームの総称です。BtoB用のASPカートは、決済や商品管理、プロモーションなどBtoB ECに必要な機能が一通り備わっています。また、デザインテンプレートが用意されているため、コストを抑えて短期間でECサイトを立ち上げたい企業に向いています。

デメリットは、原則としてカスタマイズを行えないことです。独自の機能を開発・実装することができないほか、業務システムと連携することもできません。

ECパッケージ

ECパッケージは、ECに必要な機能が標準で備わっているパッケージソフトをベースに、カスタマイズによって独自の機能を実装することができます。オリジナルのサービスを提供したい場合や、業界特有の商習慣に合わせた機能を実現したい企業に向いています。

業務システムとAPI連携できる拡張性のあるECパッケージを使用すれば、受注業務の効率化や在庫の一元化、データドリブンなCRM施策の強化なども実現します。

ECパッケージの初期費用はカスタマイズの有無によって異なりますが、数百万〜数千万円が一般的です。運用開始後はサーバ管理やシステムの保守、セキュリティ対策なども必要です。ECパッケージベンダーとの長期的なつきあいが必要になるため、自社のビジネスに対する理解度が高く、親身になって伴走してくれるベンダーを選びましょう。

フルスクラッチ

プログラムコードを書いてオリジナルのサイトを立ち上げる方法です。機能開発の自由度が高い一方で、初期費用は数千万から数億円と高額になるほか、開発期間も長くなることがデメリットです。特殊な販売方法を実現したい企業や、多くの外部システムと連携する必要がある場合など、ECパッケージをカスタマイズするよりもフルスクラッチで構築した方が安い場合は選択肢になります。

8.BtoB ECサイトの成功事例

最後に、BtoB ECサイトを活用して卸事業の効率化と顧客満足度向上を実現した企業の成功事例を紹介します。ECパッケージシステム「HIT-MALL」でBtoB ECサイトを構築した株式会社ピーディーアール様の事例です。

歯科医院で使用する医療機器や備品の商社であるピーディーアール様は「HIT-MALL」を導入してBtoB ECサイト「ピーディーアール オンラインショップ」をリニューアルしました。

リニューアルの目的は、顧客である歯科医院や歯科技工士の方々にとって使いやすいUIを実現すること。また、EC専任チームの運用業務を円滑にするために、ECサイトの運用にかかわる機能の見直しと拡充を実施することも目的の一つでした。

アイテック阪急阪神は、サイト構築における要件定義の段階で、ピーディーアール様の事業戦略を踏まえ、BtoB ECサイトの仕様を具体的に提案しました。HIT-MALLの構築事例を参考に、カスタマイズによって実装すべき機能や、運用開始後の業務フローも議論し、実装に落とし込みました。また、基幹システムとECサイトのデータ連携も行い、効率的で円滑な運用も実現しています。

サイトをリニューアルした成果について、ピーディーアール様からはECサイト全般の運用業務の効率化を実現できたとの評価をいただきました。また、ECサイトと基幹システムを連携したことで、頻繁に行っているセール時の対応などにおいて、業務負荷を大幅に軽減できているそうです。

なお、「ピーディーアール オンラインショップ」のリニューアル後はサーバ環境の提供に加え、ECサイトのページ制作やプロモーション施策もサポートしています。ピーディーアール様からは「ECサイトに関する業務をまるごと任せられる点も選定理由として大きかった」という感想をいただきました。

9.まとめ:資料請求はこちら

本稿ではBtoB ECの定義やメリット、よく実装される機能、サイト構築の注意点など、BtoB ECを成功に導くためのポイントをお伝えしました。BtoB ECを導入すると、営業活動や受注業務の生産性が向上し、対面営業ではリーチしきれなかった新規顧客の獲得にもつながるなど、さまざまなメリットがあります。デジタル・トランスフォーメーション(DX)の重要性が叫ばれる中、BtoB ECサイトを導入することは企業のDX推進の一助にもなるでしょう。

「HIT-MALL」はカスタマイズ性の高いEC構築パッケージをベースに、サイトの構築から運用支援までワンストップでサポートするトータルECソリューションです。BtoB ECを導入し、事業の競争力を高めていきたいとお考えの企業様は、ぜひ資料をご確認ください。

ECサイト構築のご相談なら「HIT-MALL」

HIT-MALL

HIT-MALLは、思い描いたEC事業を実現できるECサイト構築パッケージとワンストップ運用代行サービスを提供しています。