自社ECサイトの販促施策には、ネット広告やSEO、メルマガ、サイト改善、SNS、コンテンツマーケティング、実店舗とECの連携など、さまざまなものがあります。
近年はECプラットフォームやマーケティングツールの進化により、実行できる施策の幅が大きく広がりました。その一方で「施策の選択肢が多く、何から手をつければ良いかわからない」「効果が出る施策から優先的に取り組みたい」という悩みやニーズを持つ方も増えているようです。
そこでアイテック阪急阪神はこのほど、自社ECサイトを運営しているメーカー145社を対象に「注力している施策」や「効果が出た施策」を調査し、その結果を「自社ECで効果が出た施策と運用課題の意識調査│2024年版」にまとめました。回答を集計し、グラフや表、自由記述解答などを掲載して考察も加えています。
この記事では調査結果の一部を抜粋して公開しています。「EC事業で早急に解決したい課題」や「効果が出た施策」など、自社ECサイトを実際に運営している企業が回答したリアルな情報です。自社ECサイトの運営にご活用ください。
【この記事でわかること】
- ・EC事業者が課題に感じていること
- ・自社ECサイトの運営において注力している施策
- ・自社ECサイトの売上アップに効果があった施策
本記事で紹介する資料は、下表のような条件で調査を実施しました。
資料名 | 自社ECで効果が出た施策と運用課題の意識調査【BtoCメーカー対象・2024年版】 |
調査対象 | BtoC向け製品を扱う製造業やメーカーなど、自社ブランド製品の自社ECサイトを運用中の企業にお勤めの方 |
調査期間 | 2023年11月7日〜2023年11月9日 |
調査方法 | インターネット調査(楽天インサイト) |
有効回答数 | 145件 |
全ての調査結果をご覧になりたい方は、ホワイトペーパー「自社ECで効果が出た施策と運用課題の意識調査│2024年版」をダウンロードしてご覧ください。
自社ECサイトの販促活動における課題とは?
自社ECサイトを運営しているメーカーは、販促活動でどのような課題に直面しているのでしょうか。
「販促活動で早急に解決したい課題」について質問したところ、「ブランドの認知度」「既存顧客のリピート率」「新規顧客獲得や集客方法(Web広告、SEOなど)」が上位に挙がりました。
▶回答方法:以下の中から該当するものを選択(複数回答)
早急に解決したい課題の1位は「ブランドの認知度」(32.41%)で、2位と倍近くの差がつきました。ブランドが消費者に浸透しにくいことが、多くのメーカーにとって喫緊の課題となっています。
また、3位に「新規顧客獲得や集客方法(Web広告、SEOなど)」(16.55%)が入っていることも踏まえると、ブランドの認知向上や新規顧客獲得といった"新しい顧客へのリーチ"に課題を感じているメーカーが多いようです。
販促活動の課題についての自由記述でも、ブランドの認知向上や新規顧客獲得に関する課題が目立ちました。
認知獲得・集客に関連する課題(自由記述・一部抜粋)
- ・求める客層へのブランディング戦略が不完全燃焼である
- ・認知度を広める適切な媒体がわからない
- ・新規顧客獲得のためにWeb広告を出稿しているが、単価の上昇が大きくコストを圧迫している
- ・高齢者など普段ネットに触れない人へのアプローチに課題がある
2020年春以降、コロナ禍をきっかけにネットショップの数が急増し、大手企業がEC事業への投資を積極化する動きも加速しました。EC市場は拡大を続けているものの、競争激化によって広告のCPAが悪化するなど、集客や新規顧客獲得に苦戦している企業は少なくありません。
近年はサードパーティクッキーに対する規制によってターゲティング広告が使いにくくなるなど、ネット広告を取り巻く環境も変化しています。
今回の調査結果も踏まえると、現在の市場環境では、ブランドの認知向上や新規顧客獲得の施策をいかに成功させるかが自社ECの売上を伸ばすポイントになりそうです。
自社ECサイトの販促活動で効果が出た施策とは?
次に、自社ECサイトの販促活動で「効果が出た施策」を紹介します。なお、回答を集計したところ、EC事業の売上規模によって「効果が出た施策」の傾向が大きく異なりました。この記事では年商1億円未満(72社)の集計結果を抜粋して紹介します。年商1億円以上(73社)の集計結果はホワイトペーパーでご覧ください。
EC年商1億円未満の企業は「ECサイト改善」や「メルマガ」で効果あり
販促活動で効果が出た施策は「なし」(34.72%)、「ECサイト改善」(12.50%) 、「メルマガ」(11.11%)が上位でした。
▶回答方法:以下の中から該当するものを選択(複数回答)
販促活動で効果が出た施策で「なし」との回答があがった理由を考察する
EC年商1億円未満の企業の約3割が、販促活動で効果が出た施策に「なし」と回答した結果について考察してみたいと思います。
自社ECでは、モール型ECと比較して打てる施策の幅が広く、自由度が高いため、どの施策に手をつけるべきか判断がつかないこともあります。その結果、施策を実施しても効果が出ないという状況に陥りがちです。
その理由としては、「販促活動に十分なリソースを割けない」「ECのノウハウが社内に蓄積されていない」「どの施策を実施すべきか分からない」といったことが考えられます。これらの理由から、効果が出た施策に「なし」と回答した方がいらっしゃったのではないでしょうか。
販促活動に課題を抱えている企業は、客観的に販促活動の状況を分析し、どの施策に注力するかや、ノウハウを持った担当者による伴走支援を受けるなど、解決策を見つけることが重要です。なお、アイテック阪急阪神でもご相談は承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。
もちろん、販促活動がECの全てではありません。商品力やサイト内導線など、EC年商が上がらない際には見直すべきポイントがたくさんあります。「なんとなくうまくいってない」という状況から分析し、具体的な課題を特定して一つ一つ施策を実施することも、EC運営の重要な業務です。
また、年商1億円以上の企業では異なる結果が出ましたので、ホワイトペーパーをダウンロードしてご参考ください。
注力している施策は「メルマガ」や「コンテンツマーケティング」が上位
今回の調査では「販促活動において注力している施策」も質問しました。年商1億円以上(73社)のメーカーECでの上位は「メルマガ」「コンテンツマーケティング」「ネット上の広告」「SNSアカウント運用」でした。
メルマガは自社ECサイトの集客において現在も重要なツールです。また、「コンテンツマーケティング」「ネット上の広告」「SNSアカウント運用」に注力している企業の割合も3割を超えました。
これらの施策の中で、特に効果が高いものを特定するため、「注力している」と回答した社数に対して「効果が出た」と回答した社数の割合を施策ごとに算出しました。その結果、「コンテンツマーケティング」や「SNSアカウント運用」は「効果が出た」と回答した割合が約6割を占めています。その効果が定量的に示されたと言えそうです。
コンテンツマーケティング進め方のコツ
コンテンツマーケティングとは、企業が制作したコンテンツ(テキスト・画像・動画・音声などの素材)を使って集客や購買促進などのマーケティング活動を行う総称です。
具体的には、ブログやオウンドメディア、ブランドサイト、SNS、メルマガ、ダイレクトメール、同梱チラシなどを通じて、新着商品やキャンペーン情報、開発秘話、作り手の理念、利用シーンの提案、ユーザーの口コミなど、さまざまな情報をコンテンツ化して発信します。
コンテンツマーケティングの目的は多岐にわたります。認知獲得から集客、商品理解の促進、コンバージョン、リピーターの育成、口コミの拡散まで、カスタマージャーニーのあらゆる局面でタッチポイントを創出し、顧客の態度変容を促します。
コンテンツマーケティングについて詳しく解説した記事も公開しています。詳細を知りたい方はぜひご一読ください。
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本稿では、自社ECサイトを運営しているメーカーが直面している販促活動の課題や、効果が出た施策について抜粋して解説しました。「自社ECで効果が出た施策と運用課題の意識調査│2024年版」には、全てのデータを掲載しています。バックヤード業務の課題など、今回の記事では紹介しきれなかったデータも満載です。ぜひダウンロードしていただき、自社ECの運営にご活用ください。
資料に掲載されている調査結果
- 1.自社ECで注力している施策
- 2.自社ECで効果が出た施策
- 3.販促活動で感じている課題
- 4.販促活動で早急に解決したい課題
- 5.バックヤード業務で感じている課題
- 6.バックヤード業務で早急に解決したい課題