ECサイトにおける課題の1つである「カゴ落ち」。用語の意味や、カゴ落ちの原因と対策を解説します。
カゴ落ちとは?
「カゴ落ち」とは、ECサイトのショッピングカートに商品を入れた状態のまま、その商品を購入せずに顧客がECサイトから離脱することを意味します。「カゴ落ち」の他に、「カート落ち」「カート離脱」「カート放棄」と表現されることもあります。
カゴ落ち率の計算方法
カゴ落ちの人数やカゴ落ち率は、次の計算式で算出します。
カゴ落ち率の計算方法
例)「商品をカートに入れた顧客の数」が1,000人で、「実際の購入者数」が400人なら
カゴ落ちの人数:600人 カゴ落ち率:600÷1,000×100=60(%)
平均的なカゴ落ち率は?
カゴ落ち対策ツール「CART RECOVERY」を提供する株式会社イー・エージェンシーによる調査結果[1]によると、ECサイトのカゴ落ち率は平均で約68.2%で、実に10人のうち7人は購入せず、機会損失しているそうです。
カゴ落ちが発生する7つの理由
「カゴ落ち」が発生する主な要因として、次の7つが考えられます。
(1)送料や手数料が高い
注文確認画面まで進んだ時点で、送料や代引き手数料などを含めた支払総額が想定以上に高いことに気づき、購入をやめた。
(2)返品や問い合わせ方法が不明瞭
返品や問い合わせ方法などが不明瞭で、購入をやめた。
(3)会員登録が必須
ゲスト購入(会員登録をせずに購入)を希望していたが、購入時に会員登録が必須だったため、購入をやめた。
(4)注文フローの入力項目が多い
会員登録などの入力項目が多く、フォームの入力が面倒で購入をやめた。
(5)決済の選択肢が少ない
希望する決済方法が選べず、購入をやめた。
(6)希望する日までに届かない
注文確認画面で配送日数が判明し、希望する日までに商品が届かないため購入をやめた。
(7)決済中のエラー
決済手続きの途中でアプリやブラウザが落ちた、アクセスが集中したなど、システム上のエラーが発生したために購入できなかった。
ECサイトのカゴ落ち対策
カゴ落ちを防ぐ、またはカゴ落ちした顧客をECサイトに呼び戻す方法として、次のような対策があります。
配送料や返品ルールを分かりやすく記載
配送料や手数料の条件、返品方法や返品可能な条件などをサイト内のご利用ガイドなどに表示する、またはよくある問い合わせ内容をQ&Aなどに記載するなど、顧客の疑問や不安を解消するページを用意しておくことがカゴ落ちの防止につながります。 また、注文確認画面で商品ごとの送料の内訳を記載するなど、顧客が支払いの総額に納得しやすい表示を行うことが大切です。
送料無料ラインの達成条件を表示
「配送料を含めた総額が予想外に高い」と感じた顧客のカゴ落ちを防ぐには、カート画面で「送料無料まで~円」「あと~円で送料無料」といったメッセージを表示する(※黄色枠線部分)ことも効果的です。送料無料の条件を満たす商品をレコメンドし、カートに追加できるようにすると、アップセルの効果も期待できます。
決済の選択肢を増やす
決済の選択肢を増やすと、希望する決済方法が選べなかったことで購入をやめてしまう、カゴ落ち顧客の離脱防止につながります。クレジットカードを持っていない顧客や、手元に商品が届かないと不安なために現金での後払いを希望する顧客など、それぞれの事情によって希望する決済方法はさまざまです。ログインと決済の機能を備えたAmazon PayなどのID決済をECサイトに導入すると、クレジットカード番号を入力したくないユーザーの購入を促進できます。
使いたい決済方法が選べないとそのECサイトでの購入を諦める顧客もいますので、決済の選択肢を拡充するメリットについて詳しく解説している「ECの決済方法を徹底比較!自社ECに導入する決済サービスの選び方」も参考にしてみてください。
配送方法の選択や、配送日時指定を行えるようにする
宅配便とメール便など、送料が異なる配送方法を選択できるようにすると、送料が高いことを理由としたカゴ落ちを防げる可能性があります。たとえば、小さい商品を注文した場合は宅配便の他にメール便を選べるなど、商品サイズに合わせて配送方法も充実させておくと良いでしょう。また、配送日時指定を行えると、商品の受取日時の都合でカゴ落ちする顧客の離脱を防げる可能性があります。
EFOでフォーム入力をサポート
EFO(入力フォーム最適化)とは、フォームを顧客にとって入力しやすい形に最適化し、フォーム入力を完了してもらいやすくするように改善を行う施策のことです。 会員登録やお届け先登録など入力項目が多すぎると、入力の途中で顧客が離脱しやすくなります。
特にスマートフォンはパソコンと比べて文字を入力しにくく離脱しやすいとされるため、顧客にとって使いやすいフォームを準備しましょう。例えば、ひらがなをカタカナに、全角数字は半角数字、など入力時のゆらぎを自動変換で直すなどの入力アシスト機能をフォームに実装しておきましょう。また、場合によっては、フォーム入力をサポートするツールを検討してみるのも良いかもしれません。
リマインドのメールやプッシュ通知を送る
カートに商品が残っている顧客に対してメールやLINEなどを送り、ECサイトに呼び戻す施策も有効です。リマインドメールにクーポンなどを付与すると、再度訪問してくれる可能性が高くなるでしょう。
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EC事業者向けMA(マーケティングオートメーション)ツールとメール配信ツールの違いと活用法
カゴ落ち対策には、カートに入ったまま決済されていない商品を知らせ、再訪問を促すリマインドメールやECサイトでの行動(閲覧ページや購入商品、購入頻度など)によって、あらかじめ設定した内容を送り分けて再訪問や購買行動を促す「シナリオメール」などがあります。
こういった手作業で行うには時間がかかる作業を効率化する、MAツールやメール配信ツールに関して、相違点とそれぞれの活用法について解説しています。
カゴ落ち対策は売上アップに直結
カゴ落ち防止の対策を講じることは、売上アップに直結します。たとえば、カートまで10万人が到達するサイトで、平均客単価が1万円、月間購入者数が3万人のカゴ落ち率が70%(カート投入:10万人 → 購入者数:3万人)だと想定します。カゴ落ち対策を行い、カゴ落ち率が60%に下がったとすると、カート訪問の10万人のうち4万人が購入まで進むため、売上高は3億円から4億円へ1.3倍に増加します。このように、10%という小さな改善でも大きな効果につながることがあります。適切なカゴ落ち対策を講じてECサイトの売上拡大につなげてください。